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オンライン教育導入迅速化への提案

2020年5月9日

オンライン教育導入迅速化への提案

衆議院議員 城井 崇

【はじめに】オンライン教育、期待と実態にギャップ大きく

5月4日、新型コロナウイルス感染症に対する緊急事態宣言が全国で5月末まで延長されることが政府で決定された。学校休校についても地域によっては一部再開に向けて動き出すところも出てくる状況だ。収束へ向かって皆で努力を続けながら、我々は第2波、第3波の感染拡大にも備えなければならない。そんな「ウィズコロナ」の状況の中で学びの継続を図っていくときに重要な役割を果たすのが「オンライン教育」だ。デジタル教科書・教材、遠隔授業など、学びの継続への大きな貢献が期待される。しかし一方、4月16日正午時点で休校中または休校を決めていた1213自治体のうち、教員と児童生徒がやり取りできる「同時双方向型」のオンライン指導に取り組むと回答したのは60自治体(5%)にとどまった。(2020年4月21日毎日新聞)

学校現場におけるオンライン教育の導入を迅速化するにはどうしたらよいか。端末整備、回線整備、学習内容整備、人員配置の観点から、現状と政府の取り組みに関して国会で得た情報を整理して今後必要な策を考えたい。

【端末整備・回線整備】共同調達ECシステムで迅速化・適正化を

義務教育(小学校・中学校)に向けては、文部科学省は令和元年度補正予算、令和2年度第1次補正予算において「GIGAスクール構想」に基づく「一人1台端末の整備」と「学校への高速大容量回線の整備」をすべての学校ですべての児童生徒対象に行えるだけの予算を準備し、私たち野党も賛成して予算成立した。2020年度中に義務教育の全学年で端末と学校回線は整うという国家予算の面での前倒しの取り組みは行われている。

しかし、端末自体の整備が思うように進んでいない。ベンダーロックイン問題で自治体におけるPCやタブレットの購入が高額化して調達そのものが遅れる、またウイルス感染拡大の影響で中国の工場が止まって部品が日本国内に入らないなどして端末の製造が追い付かないという状況があるからだ。

高速大容量回線の整備も業者が限られるなどして遅れているとの状況だと聞いている。各自治体の議会も補正予算成立に合わせて臨時議会が開かれ精力的に対応いただいている。端末と回線が整ってくれば最低限のインフラが整う。

こうした状況を踏まえ、調達のスピードアップと適正価格化のために、県ごとの共同調達や一括購入の仕組みとしての共同調達ECシステムを作ることを提案したい。ともかく可能な限り迅速化できるよう国からのバックアップに目を配りたい。

休校継続の学校では家庭での端末と通信環境確保も大事な課題だ。家庭の経済状況等により必ずしも端末や回線が整っていない家庭は存在する。文部科学省は正式に状況調査を行っていないが、関連データなどから2割の家庭にはネット回線がないとの推測を立てている。私などから国会で「端末の持ち帰りルール設定を」との提案を行った結果、積極的に持ち帰りを推奨する文部科学省通知が出されたことは一歩前進だ。

家庭での通信環境の確保については、令和2年度第1次補正予算において、文部科学省予算でネット回線を持たない2割の家庭に対してモバイルルーター貸与を行うことを盛り込んだ。なお、25歳以下のユーザーについては総務省が通信キャリア3社(docomo、au、Softbank)や格安スマホ会社に働きかけ、教育プランとしてデータ使用上限引き上げを一定程度(10~60GB) 実現する見通しとなったと文部科学省から報告があった。業界の努力に感謝したい。(格安スマホで私が文部科学省から確認したのは、UQモバイル、mineo、LINEモバイル。そのほかにIIJmioが対応済み)

また公立高校には義務教育のような端末・回線整備の追加的な支援がなく、整備に濃淡がみられ、今後の重点支援の必要な分野だ。ただ、高校生の場合以下のようなデータもある。個別指導学習塾の明光義塾が全国の小学4年生~高校3年生の子どもを持つ保護者を対象に実施した調査で、高校生は91.5%がスマートフォンを持っていると回答したとのデータだ。つまり、いわゆるBYOD(私物端末の利用)と学校端末貸与の併用で高校における端末準備は現実的に行える環境にあるのではないかということを十分に踏まえるべきである。先ほどの25歳以下のデータ上限引き上げは高校生にももちろん適用されるので回線確保にも問題は少ないのではないかと考える。

大学生については、休校継続に伴いオンライン授業の導入が加速している。オンライン対応のための支援を大学が行っている例もあるが、濃淡がある。アルバイトを失った学生も多く、家計急変世帯も多いことから、オンライン環境整備を本人任せにしている例に目を配るべきだ。イコールアクセスを実現できているか確認して支援する必要がある。

26歳以上の大学生、大学院生から通信会社の上限引き上げの対象外で困る、との訴えもあったため、文部科学省と相談していたところ、26歳以上の大学生、大学院生の通信費支援については令和2年度第1次補正予算で対応する旨回答があった。

【学習内容整備・人員配置】ICT支援人材マッチングサイト導入を

学校におけるオンライン教育に向けての取り組みは民間教育産業に頼る部分が大きい状況だ。突然の学校休校発表ののち、文部科学省から示されたのはポータルサイト(臨時休業期間中における学習支援コンテンツポータルサイト(子供の学び応援サイト))の紹介だった。学習の細かな指導は家庭に任される形となったことで、各家庭での学びに濃淡が出ており、それが今後の学びの格差につながるのではとの不安の声が日々大きくなっている。

一方、民間教育産業が提供しているサービスのIDとパスワードを学校ごとに配って対応している自治体も出てきた。民間サービスにも優秀な取り組みが多く一つの方法であるが、学習指導要領など文部科学省が定めている教育の基準についてこうした民間の取り組み内容を照らしたうえで子どもたちに届けられる仕組みを早急に作るべきである。国においては「学びの保障」オンライン学習システムの導入、学校や家庭において端末を用いて学習・アセスメントが可能なプラットフォームの導入に向けた調査研究予算(1億円)が令和2年度補正予算に盛り込まれた。この研究作業の加速も必要である。

人員配置については、「情報」の免許を持った教員を増やすことも必要だが、当面は各教育現場でのICT活用を行う支援が重要である。令和2年度予算ではICT支援員の拡充を行い、令和2年度第1次補正予算ではGIGAスクールサポーターを配置することとしている。各地域からは専門知識を持った技術者経験者等を確保するのは困難との声がすでに上がっている。文部科学省に確認したところ、例えば、GIGAスクールサポーターの要件としてICT技術者の経験者となっているが、PCやタブレット、ソフト・アプリのセットアップができれば十分との見解であり、各地域での工夫を行える範囲ではないかと考えている。文部科学省はこの点をしっかり現場に伝えるべきだ。さらに、この状況を踏まえて、ICT導入の支援人材について自治体が一括募集して配置をするという仕組みを提案したい。支援人材のマッチングサイトにPTAなどを通じてIT関係企業の保護者などに協力・登録を呼びかけ、その登録リストから学校側が協力を依頼する方を選べるようにするのはどうか。既存の仕組みではAirbnbなどシェアリングエコノミーの仕組みが参考になると考える。


以上のように、アフターコロナ・ウィズコロナを念頭に最新のデジタルエコノミーの仕組みの活用とSociety5.0時代の支援策・調達方法を実現して、オンライン教育導入迅速化という手段も使って「子供の学びの保障」を実現するべきである。
[ 2020/05/09 12:38 ] 日本の政治 | TB(-) | CM(0)
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